人文会とは

人文会は人文書の普及と書店店頭における人文書の棚構築を目的とする出版社が集まり、1968年創立されました(2023年5月現在の会員18社(1社休会中))。創立以来、多くの書店の皆様、販売会社の皆様のご協力を頂きながら、人文会特約店制度、書店との研修・勉強会、「人文会ニュース」の刊行、人文書フェアの提案など地道な活動を続けてまいりました。その成果として、現在では人文書の棚は読者の支持を得、書店店頭での重要な位置を確保できるようになっています。

人文書は、分野が多岐に渡り、かつ内容も教養書・一般書と言うべきものから高度な学術書まで、非常に奥深いのが特徴です。また、時代状況の変化にそくして、読者の関心を喚起する使命を帯びている分野でもあります。そして、人文書の読者は他の分野にもまして書物への愛着が強く、書店にとっては最も良質な顧客といえます。それだけに人文書の棚作りは担当者の方々の最大の関心事であり、やりがいのあるジャンルでもあります。

そういう書店のニーズに応えることをめざして、私たちは創立20周年を迎えた1988年に人文基本図書と人文各ジャンルの小論文を掲載した『人文書の現在』を刊行いたしました。これは大変好評で新聞・雑誌の書評でも大きくとりあげられました。その後、5年ごとに改訂版として『人文書のすすめ』、『人文書のすすめⅡ』、『人文書のすすめⅢ』、そして人文会創立40周年記念事業として2008年秋には『人文書のすすめⅣ』(非売品)を刊行いたしました。人文書を哲学・思想、心理、宗教、歴史、社会、教育学、現代の批評・評論の7つの大分類に分け、さらに72の中分類に区分して約6000点を基本図書としてまとめました。これらはいずれも書店の棚作り、図書館の蔵書チェックに欠かせないものと自負しております。

また、これも、40周年記念事業になりますが、やはり昨年の秋に全国の人文会特約店の中から100店舗の書店(大学生協含む)の人文書棚担当者を東京に迎え「東京合同研修会-人文書の可能性を探る」を開催いたしました。人文書の販売については、出版不況が続く現状と、一方でオーバーストアの市場の現実を考えると棚担当者の力量が大きく作用すると考えています(人文会ニュース105号に研修会の内容が載録されています)。

さらに創立50周年には、多くの方々に人文書の魅力をもっと知ってもらいたいという思いから、内田樹氏をはじめとした10名の方にご執筆いただいた冊子『人文書のすすめ』を製作し、そのPDF版は現在も本サイトにて公開しております。

この厳しい時代に、いや厳しい時代だからこそ人文書はもっともっと読まれるべきではないでしょうか。人文会は現在、販売企画委員会、調査研修委員会、広報委員会の3委員会のもとで活動を行っております。書店様、図書館様に対してはこれからも最新の情報提供を含めコミュニケーションを計っていく所存です。

2023年6月改